鼓動、千々に

闘病記。あした天気になあれ。

抗がん剤 7回目(4/9回)

貧血が酷い。抗がん剤で骨髄がダメージを受けているのか、常時骨髄抑制状態になってしまっている。前回の退院前に輸血をし、翌週にまた輸血をした。体感的には幾分良くなっていたが、翌々週の採血では赤血球の数値は僅かに回復したものの、まだまだ貧血の範囲内だった。ここから下がるようなら来週の抗がん剤はできませんと言われてしまうほど。

で、採血結果はギリギリセーフ。今回の入院でも輸血することが確定し、治療開始となりました。

3年目の看護師さんが論文?を書くらしく、私をモデルケースにしても良いですか、との依頼があった。がんと闘う中で、いかにして生活の質を下げないか的なことがテーマとのこと。確かに抗がん剤で入院した後は生活の質が下がりまくりなんだよね。家事の一つ一つがつらいけど、やらないで家が荒れていくのはめちゃくちゃストレスという悪循環。という話をその看護師さんにすると「旦那さんのご協力は...?」と訊かれた。夫は協力的!だけれど私の快適レベルと夫のそれは結構な差があるので、私が依頼すると夫には結構なハードルになってしまう。まして仕事から帰って疲れているところにあれこれ依頼するのは心苦しいしでなかなか難しかったりする。

とそれらしいことを言っておきながら、この入院の少し前に「もっとちゃんと掃除してよ!」的なことを言ってしまい、ちょっとした喧嘩になったりした。私は自分が夫より神経質な自覚があるので、依頼する時は(言い方悪いけど)それなりに妥協してお願いをしていた。でもそれでも仕上がりがどうしても我慢できないレベルで、思わず強く言ってしまったのだけれど、仕上がりが良くなかったのは確かなんだけれど、夫は私の言い分に合わせて色々やってくれていたのに、あの言い方はないよなあ...と反省した。夫だって疲れてたりしんどかったりすることもある。掃除だって気付いた(気になった)私がちょっとやれば良かったのだし、体調的にそれが難しいならもっと別の伝え方をすれば良かったのだ。夫は大人なので、ちゃんと掃除できてなくてごめんと謝ってくれ、私は酷い言い方をしてごめんなさいと謝った。となんとか丸く収まったのだけれど、今後、本当に気を付けなければと肝に命じたのであった。

話が逸れてしまった。QOLを下げないためのアプローチ。さてこちらはどうなることやら。副作用から生活の質が下がるのは仕方ないことと諦めているところがあるし、生活の質を下げないために何かをする(吐き気や怠さが現れるタイミングを記録するなど)気力がそもそもないんですけれども。というダメ患者なので、看護師さんの論文に協力できるかどうか...笑

今回の病室はなかなかに最悪だった。隣が痴呆気味&耳が遠いお年寄りで、看護師さんが大声で繰り返し話さないと意思の疎通ができない。これを隣で四六時中聞かされているので、正直かなりしんどい。それから同室の誰かは分からない(顔も見たくないのであえて分からないままにしている)けれど、排泄音が爆音の患者がいて本当に最悪だった。ドア貫通音姫貫通、飯時も何も関係なしにやられるので本当に無理。私は大の方をする時は部屋のトイレは使わず、少し離れたトイレまで移動するので、こういう人の神経は本当に分からないし許せない。精神的苦痛で慰謝料請求したいくらい笑 大部屋だからある程度は仕方ないにしても、今回は本当に治療に支障出るんじゃないかってくらいハズレだった。同じフロアに個室の部屋がいくつかあるけれど、その前を通るたび、めちゃくちゃ恨めしい気持ちになった庶民の私。おまけにこの部屋、電波がめちゃくちゃ悪い!この病院自体が電波入りにくいんだけど、私がよく入院する部屋は電波に関してストレスはなかったんだけど、今回ちょっと違う部屋になって、ここがまあ電波が酷い!電波のバー(?)が5本中1本しか経たないし、酷い時は3G!このご時世に3Gってどういうこと!?入院中はスマホが頼りなんだから、電波が入らないとか本当に論外...

今回、いつにも増して吐き気が酷く新しいお薬を試してみた。向精神薬を兼ねた吐き気止めだそうで、これが結構効いてくれてだいぶ楽になった。先生も「やっと見つかった!」と喜んでいた。文字を読んだり書いたり、目を使うと一気に具合が悪くなってしまうのだけれど、何もしなければかなり具合が良い。薬の強さが強→中→弱の繰り返しで、今回は強。これを乗り切れたのは大きい。向精神薬と聞いた時には思わずドキッとしてしまったけれど、本当にありがたい。このまま体が薬に慣れず、効き続けてくれることを願うばかり。

と思ったら帰路で大波乱。途中までは調子良く帰れていたのに、唐突に目眩に襲われ転倒&嘔吐。壁に激突したので唇を切ってしまったり。いろんな人に迷惑をかけてしまって本当に申し訳なく...夫が付き添いでいてくれて本当によかった...吐いたらスッキリ、けろりとしてしまうんだけど、次の帰りも怖いなあ...

それからこの話もしておきたい。ブラックパンサーで主役のティ・チャラ/ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが大腸がんでこの世を去った。43歳という若さで。ブラックパンサーアベンジャーズシリーズを撮影したのは闘病中のことだったと聞いて愕然とした。CG技術が発達しているとはいえ、アクションシーンがたっぷりあるし、手術や抗がん剤と並行するとなると、立っているだけでしんどいことだってあったはず。正直、想像を絶する。それなのにあの完璧な、威厳があって慈愛に満ちたティ・チャラというキャラクターを演じ切ったこと、奇跡としか言いようがない。チャドウィックは奇跡を起こした。訃報が世界に知り渡ると、たくさんの人がチャドウィックについて語ってくれた。その話のどれもが素晴らしいものだった。失くすにはあまりに惜しい人だと思う。がんを克服することはできなかったけれど、それでも有り余る程の勇気と感動を貰えた。本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

ワカンダフォーエバー!チャドウィックフォーエバー!f:id:hapimi:20200917193018j:image

 

それでは、また。